虫歯から始まる全身の病気 ジョージEマイニー著 片山恒夫監修



虫歯から始まる全身の病気―隠されてきた「歯原病」の実態

虫歯から始まる全身の病気―隠されてきた「歯原病」の実態

  • 作者: ジョージ・E.マイニー,片山恒夫,George E. Meinig,恒志会刊行部
  • 出版社/メーカー: 恒志会
  • 発売日: 2008/07
  • メディア: 単行本
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■感受性を増すその他の過大なストレス

全身性の問題が起きないように歯を完全に殺菌したり、あるいは根管を完璧なまでに充填することが絶対に必要と言うわけではない。
適切な条件下であれば、患者は細菌に対する防御や排除を十分に行えるからである。

しかし、長期にわたり肉体的精神的な疲労があると、
歯の感染に対する感受性が増し、反応も出やすくなる。
同様に、ジフテリアサルモネラ菌感染、カンジダ症、梅毒などの性病によるその他の急性、あるいは慢性感染症があると、口腔感染の原因菌による反応がより激しくなることについては誰も異論はない。




■消化管:腸、結腸、虫垂、胆嚢

消化管の障害について、プライス博士は、多くの各種病気のなかで小腸や大腸の疾患ほど原因がはっきりしないものは無いと報告している。
患者の症状が経過するあいだに急性の下痢や便秘や急性結腸炎があることに、
たびたび博士は気づいた。
このような症例は根管と歯茎の両方の感染に関係していることがわかった。

多くの読者は、今は抗生物質を使えば歯の感染を食い止められると感じているだろう。
しかし、象牙内細菌に侵入した病原菌は別問題である。
歯から歯髄が取り除かれると、象牙細管には血液が供給されなくなるので、抗生物質は細管内の細菌には達せず、
細菌を死滅させることもできなければ、象牙細管に入る込むことはできない。

プライス博士は、歯の感染から生じる疾患全体を
「退行性疾患」と呼ぶことに決めた。




■抜歯することのリスク

根管充填材が十分に及ばなかった空隙は、血流中によくみられる細菌や象牙細管内に棲んでいる細菌の侵入によって、汚染されることがあることを、
しっかり頭に入れるべき。

プライス博士は、健康な抜去歯を用いた実験を考察し、根管充填によってできるこのすきまが、たとえ最初は無菌であったとしても、
血液循環から感染することがあることを明らかにした。