植物(種子類)の反撃のための毒

植物の自己防衛手段に対して動物が、それを食べるために次々と対抗手段を考え出していった巧みな例を紹介しよう。

 マメゾウムシ科の甲虫はマメ科植物の種子を食べたり、種子に産卵したりする。
マメゾウムシとマメ科植物との間には次のような複雑な駆引きが行われ、生きるためにマメゾウムシのすばらしい適応が行われてきた。

その過程は次のようである。
  アルカロイド類、サポニン類、ペントース、毒性アミノ酸(L−カナバニンなど)などのような有毒物質を含む種子を持つ豆類に対しては、
有毒種子を避ける行動や、これらの毒物を分解する酵素を発達させるなどの毒物に対する生理的耐性を進化させてきた。 

幼虫が豆の莢に穴を空けて入る時に、ねばねばした樹液を出して妨害する植物に対しては、
自分の卵の発生を中断させて、種子が成熟し、樹液を出せなくなるまで待つよう進化した。

 莢を開裂させたり、爆発させたりして種子をばらまき、莢の外壁で孵化した幼虫が種子に侵入できないようにする豆類に対しては、
莢からばらまかれた種子に直接産卵するように進化させた。 種子の表面を薄くはがれやすくして卵が脱落しやすくした植物に対しては、
はがれやすい部分よりさらに下に産卵したり、卵の発生を早めて種子の表面がはがれる前に幼虫が侵入できるように進化した。 

種子の成長が遅く、幼虫が必要とする大きさになかなか達しないで、種子がばらまかれる直前に急速に成長する植物に対しては、
未成熟の種子を食べるように進化したり、成長を遅らせて種子の成熟を待つ行動を進化させた。 

http://www.geocities.co.jp/Technopolis/1566/zuisou_11.html