自閉症と広汎性発達障害の生物学的治療法 ウィリアム ショー (著) コスモトゥーワン

自閉症と広汎性発達障害の生物学的治療法

自閉症と広汎性発達障害の生物学的治療法

◇1章 感染症抗生物質、ワクチンと自閉症、広汎性発達障害との関連性:選択治療





○耳の感染症とその他の反復性感染症の循環を絶つ方法




5.
ナイスタチンはほんのごくわずかしか腸内から血中に吸収されないので、ナイスタチンと抗生物質の併用から有害作用は起こりません。
もし医師がナイスタチンの処方を承諾しない場合は、自然界にある抗真菌食品、たとえば、にんにく、カプリル酸(バター、ココナッツオイルなどの脂肪の加水分解生成物にみられる脂肪酸)、
もしくはGSEなどと抗生物質を一緒に与えてください。
抗生物質と一緒に善玉菌である乳酸菌のラクトバシラス・アシドフィルス菌を与えると、
抗生物質アシドフィルス菌まで殺してしまうことがあるので効果的ではないでしょう。
抗生物質投与の後、アシドフィルス菌サプリメントを少なくとも30日間は与えると良いでしょう。







◇2章 腸内の微生物



○腸内細菌



細菌は大便に排出されますが、大便のうち50%は細菌です。
腸内の微生物は常に一定の環境を保っており、新しい細菌は絶えず産生され、古い細菌は腸内で移動している内容物と一緒に大便として排出されます。





善玉菌が死滅すると、悪玉といわれる菌の急激な増殖を促します。
また、この研究では、悪玉菌が腸内から腸内周辺のリンパ節へ転移したことを確認しており、これらの悪玉菌は、そのリンパ節から新しい感染症を体中に引き起こしたことを報告しています。





特に、分泌性アスパラギン酸プロテアーゼは重要で、腸内膜を壊してしまうだけでなく、酵母菌を攻撃するために付くられた抗体IgAとIgMをも消化する可能性があります。
腸内膜の破壊は、セレクチンの異常反応の要因とも考えられます。


度重なる酵母菌の腸内膜への着床は、おそらく腸内膜細胞の一部を殺してしまうことになり、
腸内膜への着床部分を顕微鏡で見ればスイスチーズのようになっていることでしょう。
通常、不消化食物分子は、腸内膜を通り抜けることはありません。
しかし、酵母菌によって破壊された腸粘膜の絨毛細胞の隙間からは、不消化の食物分子が吸収されることは可能となります。
この現象は腸管壁漏洩症候群LGSと呼ばれ、主な影響として食物アレルギーに、よりかかりやすくなります。
不消化食物が破棄された腸内膜を通り抜けると免疫システムによって異物とみなされ、IgEとIgGの両方の抗体が作られ始めます。


複数のアレルギーを持つ患者が抗酵母菌療法を行った後にアレルギーの再検査を受けると、多くの場合、アレルギー反応がなくなっています。
これは酵母菌増殖が抑えられると、破壊された腸内膜部分も回復し、腸内からの不消化物の「漏れ」もなくなり、
免疫システムからの不消化食物に対する攻撃も減少するためと考えられています。




自閉症児に見られる細菌からの異常副産物の証拠






HPPHAはクロストリジウム・ディフィシル菌(Clostridum difficile)による腸内感染症を起こしている子どもや大人たちの尿からも、
高濃度で検出されることがあります。


クロストリジウム(closridium)には多くの菌が属してします。
代表的なものには、破傷風を起こす破傷分菌、食中毒を起こすボツリヌス菌、下痢を起こすウェルシュ菌やディフィシル菌、または壊疽を起こす細菌には、
ウェルシュ菌、ノーヴィ菌、ヒストリチクス菌、セプチックス菌、ファラックス菌などがあります。















○免役システム、早期の抗生物質使用および腸内微生物の関連性





この分泌型IgA抗体は、腸内の微生物を攻撃するのに免疫システムにより産生され、腸内の正常なフローラには攻撃をせず悪玉菌だけを攻撃します。
分泌型IgA抗体は悪玉菌を包み込み、悪玉菌が腸内の粘膜細胞に付着するのを阻止します。
そのため、粘膜細胞へくっつくことのできない細菌はより速く腸管から排泄されることになります。
自閉症児は高い率で分泌型IgA抗体を作ることが不十分であり、彼らの免疫システムは異常繁殖している酵母菌や悪玉菌を排除するのが難しいかもしれません。


私は今まで多数の両親から、自閉症を持つ子どもたちがとても幼い時期に抗生物質投与を受けている、という報告を聞いて驚いています。
乳幼児期の抗生物質使用は酵母菌や悪玉菌が免役耐性を得る事になる、と私は推測しています。



母親が妊娠中に酵母感染症にかかると、発育中の胎児にも酵母菌が免役耐性を得る可能性があります。
ある女性は妊娠中に重度の膣カンジダ症を伴っていて、生まれた乳女児は口腔カンジダ症を患っていました。
この女の子はそのご自閉症と診断されています。
このようなケースは乳児期に現われる異常性のある行動を説明できるかもしれません。







◇3章 有機酸検査、酵母菌の副産物、それらと自閉症との関係






○3番目の自閉症児の検査








68日後、ブルースの母親は、ナイスタチンが尽きてきたので、無くならないように通常投与量の半分だけブルースに与え始めました。







半年、ときには2、3年間、抗真菌治療をしても、治療を止めると生化学的リバウンドが起き、
それまでの改善が失われることがおおいのです。
この現象については、次のいくつかの説明が考えられます。


・免疫系に1つ以上の欠損があるため、食べ物も含めて私達の環境に常在する酵母菌が腸内でとても早く再増殖する。
早期の抗生物質の使用が腸管内の常在部生物を異常なパターンに変え、このパターンを免疫系が正常と認識してこららの生物を攻撃しないという可能性があります。


酵母菌の抵抗力がとても強く、半年の抗真菌治療でも完全に排除されない。
これら耐性のある酵母菌の中には、細胞壁がない菌もいるかもしれません。これは酵母菌の章で述べます。

・腸管を形成するヒト細胞の一部に酵母菌が遺伝的に形質転換したため、
ヒトの腸管の細胞の一部が酵母菌のDNAを持つ。形成転換したこれらのヒト細胞は、酵母菌とヒトの両方の生成物を作り、
抗真菌剤に対してある程度感受性は持っていますが完全に破壊されることはなく、抗真菌剤が存在しないときは酵母菌の生成物を作ります。

酵母菌の中には、腸管の奥まったところや、腸粘膜の奥深い層に潜んでいる菌もいて、これらの酵母菌は比較的、薬から影響されない。
たとえ隠れている酵母菌の数が少なくても、抗真菌剤の投与を止めれば、これらの酵母菌は容易に腸で再増殖します。
















◇4章 酵母菌と真菌







○処方箋が必要な抗真菌剤

ナイスタチンは、最も安全で最も古くから使われている抗真菌剤の1つです。






肝臓毒性を知る通常の指標として、損傷した肝臓から漏出する肝臓酵素群の活性の増加があります。
ただし、ビタミンB6サプリメントを摂った後のこれらの酵素の中程度の活性増加は、
肝臓毒性の指標とはなりません。
ビタミンB6はAST、ALTと呼ばれる特定のトランスアミナーゼ、すなわち肝機能酵素の活性を増します。
ビタミンB6は、これらの酵素に不可欠な補因子であり、これらの酵素を簡明に活性化します。
全身性抗真菌剤を使う際は、このような検査によって肝臓機能を監視する場合があるので、ビタミンB6からの影響があるということを知っておく必要があります。













◇6章 消化系統の異常






○食生活のグルテンカゼイン除去



カゼイン除去の食事制限からカルシウム欠乏を防ぐ方法

牛乳は多くのタンパク質、ビタミンD、カルシウムの主な摂取原なので、正常な子どもの食生活から牛乳がとりのぞかれると、カルシウム欠乏症の問題が出てきます。
医師のなかには、グルテンカゼイン食事制限をしている自閉症の子どもに、くる病という骨格が変形する疾患を持っていたことを報告しています。






◇8章 重金属の毒性








■水銀の健康への影響と反復性カンジダ




水銀と鉛が、カンジダに対する体の防御の主力である次亜塩素酸イオンを作る、
重要な白血球酵素ミエロペルオキシダーゼを阻害する








◇11章 自閉症の栄養学的治療


アミノ酸とタンパクの摂取


もっとも重症の自閉症児では、グルタミン酸の平均値は正常な対照群の2倍でした。
第二の研究ではまた、リジンが上昇していることもわかりました。
グルタミン酸神経細胞を過剰刺激し、ダメージを与えることの出来る興奮性アミノ酸(ecxcitotoxin)なので、グルタミン酸上昇との関係は興味深いものです。




グルタミン酸を抑制性神経伝達物質γーアミノ酪酸GABA)に変換するグルタミン酸デカルボキシラーゼは、自閉症を持つ人の脳で低下していることがわかっています。
この酵素はビタミンB6依存性なので、ビタミンB6サプリメントを補充することで興奮性アミノ酸の量を減少させつつ、他方GABAを増やせるかもしれません。
GABAは脳の中でも最も重要な抑制性神経伝達物質ですから、この神経伝達物質が欠乏すると、他動を引き起こす可能性があります。







○ビタミン類



■ビタミンB6




P5Pは消化管から効果的に吸収されないので、P−5−Pを摂取しても恐らく役に立たないでしょう。
吸収されるには、まずリン酸塩を取り除かなくてはなりません。
わざわざ割増料金を払って買っているP5Pから、人間の体はその同じリン酸塩を取り除くことになります。
廉価な形のB6を買って、他の事にお金を回したほうが節約になるでしょう。





自閉症におけるビタミンB6の有益な作用



ビタミンB6コエンザイムの生化学作用のほとんどにおいて、マグネシウムが生化学的な補因子として働くことにより、
ビタミンは最大限の効果を発揮できるような適切な3次元構造をとることができます。
従って、ビタミンB6サプリメントを補充するときは必ず、マグネシウムの補充も行うべきです。
マグネシウム補充の追加的な利点として、規則正しい便通を助ける働きがあります。
規則的にマグネシウムを摂っている小児成人はめったに便秘しません。