発達障害の子どもが変わる食事 ジュリーマシューズ著 大森隆史 小澤理絵


発達障害の子どもが変わる食事 (青春新書INTELLIGENCE)

発達障害の子どもが変わる食事 (青春新書INTELLIGENCE)

◇1章 栄養化学でわかった発達障害と食事の関係



■消化機能の問題

腸に問題があると、消化機能が低下します。
また、発達障害の子どもは免役が正常に機能せず、腸内で真菌やバクテリアなどが増殖しやすい傾向があります。

腸内で真菌やバクテリアが増えると、炎症が起こり、本来吸収されるはずのない未消化のタンパク質が腸壁から体内へと入ってしまいます。
これを「リーキーガット(腸管壁浸漏)症候群」といいます。
未消化のタンパク質は身体に害を与えます。
具体的にはアレルギーや炎症の原因となりますし、その一部は脳内へと入り、麻薬のように作用することもあります。










◇2章 小麦・乳製品・砂糖





■「食物過敏→腸の炎症→さらなる過敏性」の悪循環

食物過敏は食べ物を上手く消化できないことにより生じます。
本来なら消化器官に入ったタンパク質はその最小単位であるアミノ酸まで分解されて、
腸から吸収されます。
アミノ酸まで分解されてしまえば、含まれるその食品の抗原性はなくなり、アレルギーを引き起こすことはありません。

しかし、食物過敏のある人は、消化酵素の不足など消化機能に何らかの問題を抱えているため、食物を十分に分解することが出来ません。
最小単位まで分解されなかった大きな分子量のタンパク質は身体にとって異物として認識されますから、その食物が抗原となり、アレルギー反応を引き起こしてしまうのです。

食物過敏のもう一つの問題は、腸内でアレルギー反応が起こると、腸に炎症を引き起こすことです。
炎症は細菌などの抗原を殺したり体外へと追い出したりするために起こる反応なのですが、無害な抗原を有害な物質であると誤認して引き起こされるアレルギーでも
やはり炎症は起こります。
その結果、腸の状態がより悪化し、さらに過敏性が高まってしまうのです。

食物過敏を引き起こしやすい食物としては、穀物、乳製品、大豆、とうもろこし、卵、砂糖、チョコレート、ピーナット、柑橘類などが挙げられます。
また、木の実や種子などナッツ類、牛肉、パンなどに含まれるイースト、トマトなども食物過敏を比較的起こしやすいようです。

実は食物過敏は胎児のうちからはじまている、といわれています。
というのも、IgG抗体は胎盤を通じて母体から胎児へと伝わる唯一の抗体です。
そのおかげで胎児や新生児の免疫力は強くなるのですが、その一方で、食物への過敏性が親から子へと伝わる可能性があります。





■乳製品・小麦に含まれる未消化タンパク質が危ない

数ある食物過敏の中でも自閉症の子ども達に最も頻度が高く、破壊的ダメージを与えるとされているのが小麦と乳製品です。
もっと具体的にいうと、小麦に含まれるタンパク質であるグルテンと、乳製品に含まれるタンパク質であるカゼインが問題となります。

先ほど、腸の機能が正常であれば、タンパク質はその最小単位であるアミノ酸まで分解されて腸から吸収されることを説明しました。
グルテンカゼインも十分に消化されれば、害をもたらすことはありません。

ところが、自閉症の子はタンパク質を分解する酵素の働きが十分ではなく、完全に分解できないといわれています。
その結果、グルテンがグルテモフィンという物質に、カゼインがカゾモルフィンという麻薬物質に非常によく似た物質となってしまい、
精神の高揚、興奮、痛みに鈍感になる、頭がぼーっとして思考できなくなるなどの症状が出ます。
自閉症の子どもの中には、壁に頭を打ち付けるなどの自称行動をする子がいますが、
これも麻薬作用をもつ物質により麻痺した感覚や思考を自ら刺激しようとしているのだ、という説があります。





■腸粘膜が荒れてしまうリーキーガット症候群


小腸の粘膜に、未消化タンパク質など有害な物質を通さない仕組みがあります。
小腸の粘膜は柔毛という小さな突起で覆われていて、その柔毛はさらに小さな微柔毛という突起で覆われています。

この小腸粘膜の構造は、たとえていえば非常に目の細かい網目のようなもので、
小さな分子しか通ることができません。
分子量が大きい未消化タンパク質は通過することができませんから、吸収されることなく小腸を通りすぎ、
体外へと排出されるのです。

これが本来のあるべき腸の状態です。
しかし、発達障害の子の小腸では、この微柔毛の表面が荒れてところどころ敗れているような状態となっています。
ですから、グルテモルヂンやカゾモルフィンなど大きな分子量の未消化タンパク質が通り抜け、血液中へと流れこんでしまうのです。

このような腸のリーキーガット(腸管壁浸漏)症候群です。

では、どうして小腸の粘膜は荒れてしまうのでしょうか。
その理由として挙げられるものが、早期の離乳食、抗生物質カンジダ菌の繁殖などです。




発達障害を悪化させるカンジダ


リーキーガット症候群を引き起こすもう一つの原因として挙げられるのが、カンジダ菌です。
カンジダ菌はイースト菌の一種で、カンジダ性皮膚炎、カンジダ性膣炎などの原因となる真菌(カビの仲間)です。
カビというと驚くかもしれませんが、私達の体は他の細菌と真菌が共存している状態が普通であり、
腸内のカンジダ菌も身体が健康であれば善玉菌と共存しているので、特に問題をもたらすことはありません。

しかし、なんらかのきっかけで、腸内の善玉菌と悪玉菌のバランスが崩れると身体に害を与えるほどにカンジダ菌が増殖します。
そのバランスを崩すきっかけの一つが、先ほども腸の粘膜機能を低下させる原意として挙げた抗生物質です。

抗生物質の問題点は、病気の原因となる細菌を死滅させる一方で、
腸内の善玉菌など身体に役に立つ細菌まで影響を及ぼすことです。
抗生物質により善玉菌の勢力が弱まってしまうと、カンジダ菌が増殖しはじめます。

ちなみに、抗生物質カンジダ菌には効果がありません。
いったんカンジダ菌が増殖すると、再び善玉菌が元の勢力を取り戻すのは容易なことではありません。

ウィリアム・ショー博士によると、カンジダ菌の腸内の増殖は、自閉症に共通した状態であり、
菌が放出した毒素が発達障害の症状を悪化させるとも述べています。
カンジダ菌はアルコールやホルムアルデヒドなどの有毒な代謝物を生成するのですが、それらは腸から吸収され血液中に流れこみます。
そして、脳に到達して悪影響を与えるのです。









■消化酵素、プロバイオティクス、オメガ3からスタート

特に消化酵素と乳酸菌は味がほとんどなく、とりやすいサプリメント
また腸の状態を改善する、という重要な目的のためにも真っ先に摂取することをお勧めします。

腸の状態がよくないと栄養を吸収できないので、いくらサプリメントをとっても効果があらわれないことがあります。

ただし、腸を完璧によい状態にするには何年もかかりますから、
サプリメントを飲むことになれたら、食事療法も並行して開始しましょう。






◇4章 身のまわりの”毒”から子供を守る生活習慣


■水銀

体内の水銀量を調べる方法の1つとして、毛髪検査や尿検査があるのですが、これも不思議なことに、
自閉症の子どものほうが尿や毛髪内の水銀の排出量が少ない」という結果になることがよくあります。
その結果から、「自閉症の子どもの体内には水銀が少ない」と考えてしまいがちですが、
おそらくは反対で、水銀や脳や組織に付着し体内に蓄積されているからこそ、髪の毛や尿中に排泄されないのです。



■予防接種のワクチンにも水銀が

ワクチンには、安価な保存剤であるチメロサールが使われてきました。
チメロサールにはエチル水銀が49.6%含まれています。

日本でも2001年に厚生労働省から製薬会社にたいして、
チメロサールの濃度を10分の1に」という勧告が成されました。
その結果、現在の日本のワクチンには、チメロサールが添付されていないものと、減量されたもののまだ少量が添付されているものが混在しています。

予防接種に含まれるチメロサールの問題点は、血流に直接注入されるため、腸など体の自然な防衛システムでシャットアウトされることなく、
血液に乗って全身を循環してしまうことにあります。

脳の毛細血管には、脳機能に悪影響を当てる物質が脳細胞に到達するのを防ぐ血液脳関門というシステムがあるのですが、
チメロサールはここも通過することができます。

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