矢崎症例


栄養処方

プロテイン 10g×3回 (朝・昼・晩)
ビタミンC 1g×5回 適宜
ビタミンB群(B5レベルで) 500mg×3回 (朝・昼・晩)
鉄 16mg×3回
(ヘム鉄として、2400mg) (朝・昼・晩)
ビタミンE 400mg×3回 (朝・昼・晩)
カルシウム/マグネシウム 600mg/540mg×3回 (朝・昼・晩)

また、機能性低血糖症が強く疑われたため、5時間糖負荷試験を行い、インスリン過剰分泌を伴う反応性低血糖症と診断した。低糖質・少量頻回の食事指導を行った。
症状から、遅延型食物アレルギーや腸内環境の悪化なども疑われたため、それらの検査も行った。
遅延型食物アレルギー検査では、卵や酵母イースト)など50種類以上の食材にアレルギー反応がみられため、除去食・ローテーション食事法の指導を行った。
腸内環境アンバランス検査では、腸内のカンジダ菌の増殖と、腸粘膜の炎症の存在を確認した。腸粘膜の炎症のため、腸管侵漏症候群(Leaky Gut Syndrome:LGS)を起こしており、その結果重篤な食物アレルギーを引き起こしていると考えられた。これに対し、カンジダの除菌を含む腸の治療を行った。
(腸の治療処方) ジフルカン(抗真菌剤)・シプロキサン(抗菌剤)、善玉菌サプリメントなど。

経過

治療3ヶ月後
劇的に症状が良くなった。
体のしんどさや疲労感はなくなり、痛みや腹満感などの自覚症状も劇的に改善し、驚いている。
精神面でも、些細なことはまだ気になるが、すぐ忘れられるようになった。
以前よりも眠れるようになったが、まだ緊張感は残っている。
食後の症状(首の痛みなど)も改善した。

ドクターのコメント
矢崎智子
この患者さまは、初診時では仕事に行くのが困難なほどの強い疲労感を訴えて、非常にお困りのご様子でした。
種々の検査で多くの問題が発覚し、それに基づいて治療を行ったところ、治療3ヶ月で、気になる症状のほとんどが、初診時の症状の強さを10とすると、0〜3まで激減しています。

慢性疲労慢性疲労症候群)は、がんや糖尿病など生活習慣病とはちがい、生命にかかわる一大事とはいえないものの、患者さまのQOLを低下させる厄介な病気です。
しかし、一般の医療機関で検査をしても、その原因を見つけることはほとんどできません。
これは、現代西洋医学が器質的な疾患(車の故障に例えると、エンジントラブル)の治療を得意とする学問のため、そして保険診療の範囲では血液検査の項目が制約されているために、機能性疾患(車の故障に例えると、ガソリン不足)の代表選手である慢性疲労の原因を診断するまでに至らないためなのです。

そして、残念ながら、原因が一般の医療機関では見つけられないために、心療内科にまわされ、「うつ病」などと診断され、抗うつ剤などの薬を処方されるケースがほとんどです。当然、原因を治療しているわけではないので、それで症状がよくなればラッキーですが、薬の副作用でかえって症状が悪化することも少なくありません。

慢性疲労のしんどい、だるいなどの体の不調には、必ず原因があります。原因なくして症状は起こりません。
慢性疲労の原因は、要因の数の少ない単純な方から、多数の要因が複雑に絡み合った方まで、患者さまによってさまざまです。

現在のところ考えられる慢性疲労慢性疲労症候群)の原因には、肝障害など器質的疾患を除けば、以下のものがあります。
1.複合的で慢性的な栄養失調
2.慢性的な消化吸収障害(1の原因となる)
3.機能性低血糖症(とくに無反応性低血糖症
4.複合的で慢性的なホルモン失調(甲状腺、副腎など)
5.遅延型食物アレルギー
6.腸管侵漏症候群(Leaky Gut Syndrome: LGS)
7.複合的な毒素の蓄積(鉛・水銀など)
8.慢性的な精神的ストレス
9.複合的で持続的な感染(酵母菌(イースト菌)、カンジダ菌、マイコプラズマ、Epstein-Bar virus、トキソプラズマなど)
10.その他

私が経験したケースでは、1の栄養失調と3の機能性低血糖症の合併が多く見られますが、重症な方ではこれに4のホルモン失調が絡んでいることが多いです。

残念ながら、これらの原因のほとんどは、日本の一般的な医師には理解されておらず、検査も保険で認められていないものがほとんどです。そのため、病院に行っても慢性疲労の原因を見つけることができないのです。

この患者さまのケースは、1、3に加え、5の食物アレルギーと6のLGS、9の感染(カンジダ菌)などの多様な要因が絡み合った、複雑な例といえるでしょう。
しかし患者さまが当院の治療方針をよく理解してくださり、適切な検査と治療を行うことができたため、短期間で改善に至った症例です。

http://www.cfs-hygeia.com/results.html