VB12検査(メチルマロン酸)


ビタミンB12と鉄、葉酸の吸収には不可欠な胃酸

この男性が、今年の6月から異常に疲れるようになり、特に階段の昇降りや、
重い荷物を持って距離を歩くことで異常に疲労感と倦怠感が押し寄せてくるようになったため、
副腎疲労の可能性があるのではないかとことがありました。

男性の主治医は栄養療法に理解も興味もある医師で、早速男性のだ液コルチゾールの検査をお願いしたところ、
結果は、副腎の疲労をうかがわせる数値ではあるものの、極度に副腎の疲弊を疑うような数値ではありませんでした。

この段階で、主治医と相談し、念のために貧血の可能性を考えて、血液検査を行ってもらいました。結果から、
中程度の大球性貧血の可能性がわかりました。大球性貧血は 進行のスピードは比較的遅く、進行に合わせて体が順応することから、
はじめは貧血症状がみられないこともあります。

症状としては、息切れ、疲労感、全身の倦怠感、頭重感、顔面蒼白などが現れます。 

主治医と男性本人には私からお願いして、ビタミンB12の状態を調べた方がいいことを話し、
血液中のビタミンB12、葉酸、ホモシステイン及び尿中のメチルマロン酸の検査を行ってもらいました。

ビタミンB12の体内での吸収と代謝を正確に知る場合には、血液中のビタミンB12を検査するよりも、ビタミンB12の代謝物としての、
尿中に排泄されたメチルマロン酸を検査確認する方が的確にビタミンB12の動向が確認できます。

しかし、残念なことに現在では、日本の検査センターでメチルマロン酸を検査分析してくれる施設は皆無で、アメリカまで送って検査をするしか方法がないことは非常に残念なことです。決して手技が難しい検査ではなく、歴史も古い検査なのでコストも安い検査にも関わらず、現在の臨床医学では、ビタミンB12の過不足からくる症状の背景を疑う医師も少なく、メチルマエオン酸の検査になど誰も目を向けなくなったようです。
この男性の検査結果ですが、結論から言うと、明らかにビタミンB12の不足が疑われる数値が分析され、大球性貧血の確定ができました。 

主治医にお願いして、男性には1カ月間、毎週500マイクログラムのビタミンB12の筋肉注射を行ってもらったところ、
筋肉注射をした日から3日間ほどは疲労感が全くなくなるが、その後は次の注射の日までは再び疲労感が襲ってくるとのことでした。

一方で、この男性の食生活を見ても、ビタミンB12が含まれた動物性のたんぱく質が極端に少ないわけでもないことから、
今度は私のブログでもおなじみのレモン水を使った胃酸自己チェックを行ってもらい、ビタミンB12と鉄、葉酸の吸収には不可欠な胃酸の状態を調べてもらいました。
結果は、胃酸が少ない状況ではありませんでした。

 主治医と相談し、男性のビタミンB12が不足する原因は何か悩んでいたところ、過去の論文検索をしていると、
男性が服用しているメトグルコという薬の成分が、ビタミンB12の吸収を抑制するという研究論文をいくつか見つけました。2000年にアメリカ、ニューヨークにあるマウントサイナイ医科大学の研究チームに夜報告(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/10977010?dopt=Abstract)を皮切りに、その後6年間にわたり、毎年、様々な大学の研究者によって、メトグルコ(メトフォルミン)がビタミンB12の吸収を抑制することが報告されています。
全ての論文を見ると、メトグルコ(メトフォルミン)を服用している患者の全てにビタミンB12の不足が見られるわけではないものの、30%ほどの患者でビタミンB12不測の症状が現れていることがわかりました。

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